紀の国子どもサポートネット、一周年記念 「Miniトーク6 &講演会」
  日時:平成11年9月11日   場所:和歌山信愛女子短期大学
  講 演 「市民参加で21世紀の学校・子どもの育ちを支える」   
       和歌山大学生涯学習教育研究センター長  山本健慈


講演会
和歌山大学生涯学習教育研究センター長  山本健慈
山本健慈さんは、「開かれた学校」「学校をオープンに」と学校にだけ求めてばかりいる。
今は家を盾にして子どもを戦場(学校)に送っていて、各家庭の様子が見えてこない。相手
にばかり求めているうちは、開かれた学校にはならない。自分たちもオープンになるべきだ
と述べられました。
 また、子どもが自立していくには、大人が目的に向かっている姿を見せていく必要がある。
(PTA文化部主催によるトライやるの取り組みについて)大人が子どもに求めようとしてい
ることを考えているうちに、その取り組みが子どもだけではなく、自分のためになっている
ことに気が付いたのは良かったのでは。
「だめな先生、だめな親でもいいんじゃない」と会場に語りかけていました。



miniトーク6

A:チャイルドラインの魅力 (進行:岡本瑞子)
提言者に子ども劇場和歌山県センターから岡本さんを迎え、チャイルドラインの概要を伺った。
また12月に子ども劇場主催で行われる「24時間子ども電話」の話を中心に、実施に向けて
の注意点や今後の課題について参加者がそれぞれ意見を交換した。
沢山の意見が出たのだが、ここでは一番議論になった秘密厳守について述べたい。「子ども電
話」という性質上子どもとの会話は秘密厳守しなければならない。しかし、子どもの悩みが生
死や犯罪に関わっている時こちらはどの様に対処すべきか。また多くの子どもに電話をかけて
きてもらいたいが主催者側の顔が分かってしまうと子どもたちがかけ辛くなるので、その宣伝
方法をどうするか。
 実施に向けて多くのハードルがあるが成功を祈りたい。

B:不登校 
(進行:野中康寛)
 前半は、野中さんの勤めている不登校児の居場所「ハートフルハウス」の活勤と現況につい
て、報告して下さいました。学校を「発達保障の場」、居場所を「ゆっくりとした時間と空間
を保障し、本来の力を取り戻す場」と述ベ、互いの役割と限界を認めあいながら協力していく
ことが大切であると述べられました。また参加者からは、「人によって傷つけられても、人と
の交わりの中で回復していくのでは?」「不登校の居場所があるということが大事」「不登校
の子どもを持たない親たちも、こういった場に参加し、不登校について学ぷことが大事ではな
いか?」など、さまざまな意見が出されました。

C:PTA文化部が主催する「トライやる」 (進行:片岡容子)
午後からはPTAが主催する「トライやる」について、実際に企画し学校側に働きかけた主婦
の片岡さんを囲んで話し合いがもたれた。 
「トライやる」実現に向けての歩みと実施までに残る課題について片岡さんから発表があり、
その後は参加者が自由に意見を交換し合った。話の中心となったのはいかにして企画を立ち上
げ、学校側に話を持って行ったのかについてであった。県教委でなく、また教師でもなく保護
者の代表であるPTAが主催する意義やその苦労について議論があった。 
 「学級崩壊」克服にむけてサポーットネットでは数々の教育トークの会を行ったがその都度
問題とされてきたのは学校・保護者・地域との連携である。今回の「トライやる」はその連携
の難しさと大切さを如実に表していた。

D:少年非行と少年法について (進行:金原徹雄)
 前半は、金原さんが少年審判の特長について説明して下さいました。大人の刑事審判と比べ
、少年審判は「少年自身が立ち直ること」に重きが置かれていると述べられました。少年が二
度と非行を起こさないために、どういう教育が必要かを考えたり、健全な成長のための環境を
調整することが行われるということです。    
 後半は、参加者から、少年審判の非公開性について疑問が投げかけられました。犯罪被害者
に対する情報公開が不十分ではないかという意見が出た一方、加害者の人権を侵害することで、
被害者が癒されると考えることへの危惧も示されていました。

E:今、学校で起こっていること (進行:島久美子)
 約20名の参加に、今学校で起こっている様々な出来事への関心の高さが伺えました。親自身
が社会的な協調性がなく、子どもへのしつけができていない。子ども自身が教師の言うことを
受けとめられない。子ども達や親の気持ちを理解できない教師が多い…など。参加者それぞれ
から問題に感じていることが多く出されました。“犯人さがし”ではなく、その現状から一人
一人が何をするのかという本題に充分踏み込めず、残念。時間不足でした。

F:教育とは何か−その根源を問う (進行:有賀真澄)
 教科書通り教えることが本当の教育なのか。本当の教育とは自ら学ぼうとする意欲の上に初
めて成り立つ物であるという観点から、教科学習に加えて自分の興味のある事を探求していく
学習の実践報告を有賀さんより受け、その後参加者6人から、教科書を学ぶ権利は保障すべき
だという意見や、それは単なる押しつけにすぎないのではないかという意見が出され、生きた
教育とは何かについて自由に和気あいあいと話し合った楽しい分科会だった。



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