2)平成12年8月26日
  テーマ:少年事件とその背景について
  講 師:廣井亮一(和歌山大学教育学部助教授)
  参加者:33名



廣井先生は昭和56年から8年間少年事件に、平成元年から6年間は家事事件に、
平成8年からは少年事件に家庭裁判所の調査官として関わってこられ、
現在は和歌山大学教育学部に勤務されています。また小学校でスクールカウンセラーを、
大阪府では家庭教育カウンセラーをされています。

家族関係の中でも、家族がどのように繋がっているのかという観点を特に大事にしている。
家族の中には歪みなど色々な問題があるが、それを示すだけではなく、どうしたら問題を解決できるのか、
提示していくのが役目だと話された。

昭和の最後と平成の最近の子どもの姿や少年事件には違いがある。
昭和54〜6年は家庭内暴力、昭和56〜9年は校内暴力があり、
このころは子どもに歯向かってくる気持ちがあり、反抗・反発して向かってきた。
それに対して、平成になると子どもたちがおとなしすぎる。
4〜5人のグループや不特定多数の中では話ができるが、40〜50名の教室では話ができない。
彼らは小・中・高と善かれ悪しかれ自分というものを出すことをしない。
目立つこと・はみ出ることに対して恐怖心がものすごくある。

少年事件が凶悪化している、あるいは増えていると言われているが、統計的にはあまり変わっていない。
しかし質的な問題の方が大きい。すなわち一見おとなしいように見える子どもに潜在している、
攻撃性・粗暴性・いらだちがものすごく強い、と話された。
佐賀のバスジャック刺殺事件や、最近の事件を起こす少年は「素直なおりこうさんで、注意などを素直に受け止める」子どもであった。
「良い子」で「お利口さん」がなぜ凶悪事件を起こすのか。
「なにも問題がない子ども」なのではなく、「なにも問題がないかのように育った子ども」である。
大人の価値観、枠組みにおさまりすぎて、少年たちは本来の自分を生きてきたのか、疑問に思う。
今の子どもたちはありのままを出せなくて、すごいストレスの中で緊張して生活している、と話された

子どもたちには空間が3つあり、
第一空間は家庭・家族、第二空間は学校、大人では職場・社会、第三空間は子どもでは原っぱ・遊び場、大人ではレジャーである。
この3つの空間で生きるということが生身の人間として生きることである。
今の子どもに最も欠けているのは、第三の空間である。
これらのひずみは第一空間では家庭内暴力、第二空間では不登校・校内暴力、第三空間では非行問題となる。
今社会(少年たち)に必要なのは、自由な空間・時間をどうやって保証するか。
小学生では「遊び」であり、青少年では「秘密」である。また人との関わりを通して相手の気持ちを察し
、弱い者を思いやる心が生まれ育つ事が必要だと話された。



 

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