以下は、2000年1月24日に和歌山有機認証協会
(=WOCA)を創設する際、そのために集まった有志が
活動の目標と理念を明らかにすべく確認しあった文書です。
いま読み返せばずいぶん気負った所も目立ちますが、
この宣言に込めた思いは今も変わりません。


 
W O C A 宣 言
 特定非営利活動法人・和歌山有機認証協会( Wakayama Organic Certified
Association=WOCA、以下「協会」という )は、ここに掲げる五つの目的を実現するため2000年1月、温暖な気候と豊かな水に恵まれた紀州の大地に産声をあげた。
 第一の目的は、これまで営々として困難な有機農業に取り組み、また真摯に有機食品の製造や普及に携わってきた人々を力強く支援することにある。有機食品を頂点とする安全な食を求める声は日々大きくなっているが、店頭にはまがいものが横行し、消費者の期待を裏切るとともに有機農業への信頼をも深く傷つけている。また、外国産の有機農産物や有機食品の輸入急増は市場を混乱させ、国内の有機農業存続を危うくしている。であればこそ協会は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」の改正を機に導入された第三者認証制度を効果的に活用し、真っ当に有機農業に取り組む農業者らとその生産品を公正に評価することで、これに費やした努力が正当に報われるよう支援したい。
 第二の目的は、合成化学物質の氾濫や大気および水の汚染などにより高まる健康への不安を反映し、生命の源となる安心して食べられる食料を求めてやまない人々の切実な願いに応えることにある。新鮮で栄養価が高く安全でおいしい食べものを日々の食卓にのせるという、この当たり前の願いを実現するため、生産から消費までを一貫する安全な食料の確保システム確立は急務となっている。協会は、生産および加工の現場から流通消費に至るまで有機農産物であることをその責任において検査認証することにより、生産者と消費者をつなぐこの安全な食料確保システムの不可欠な一環として働きたい。
 第三の目的は、農業者、加工業者、小売業者、消費者ほか、食べ物によって網の目のように連なるすべての人々の関係を、新たな信頼の絆で紡ぎなおすことにある。本来、生命と健康を支える安全な食料の確保には、それに関わるすべての人々の相互信頼と協力、共同が欠かせないが、現状では価格、品質、表示等をめぐる不信や誤解が渦巻き、過酷な市場と競争の原理のもとで人々は孤立し分断されている。協会は、この不幸な状況をあらためるため、有機農業やその加工技術についての情報交換や相互研鑚、消費者と生産者の交流などを通じ、人々の間に食を媒介とした瑞々しく温かな共生と連携の新たな人間関係が育つよう、その出会いと共感の場として役立ちたい。
 第四の目的は、豊かで安全な食生活を築く日本農業を再生することにある。国の独立が危ぶまれるまで著しく低下した食料自給率、世界最大となって久しい食料輸入、荒廃する農地と農業、衰退し遺棄される農山村など、日本の食料、農業、そして農村はいまや存亡の危機に立つに至った。しかも、WTO体制、市場主義農政のもとで事態は一層深刻の度を加えている。これに歯止めをかけ、日本の農業を再生し、活性化してゆくためには、国民に支持される、安心、安全な食料生産を基本にした農業、持続可能な物質循環に基づく農業を構築してゆかねばならない。協会は、こうした安全と環境を重視した農業の最終目標となる有機農業の発展に寄与することにより、日本農業の再生に貢献したい。
 第五の目的は、持続可能な社会=農的社会を実現し、差し迫る地球環境の危機を克服することにある。人間は食べ物がなければ生きてゆけないが、食べ物を作るために環境を破壊しても生きてはゆけない。人類の存続を脅かすまで深刻化した環境危機を乗り越えるためには、生産者は従来の生産方法を、そして消費者は従来の生活スタイルを改め、環境負荷を最小限にし将来にわたって永続可能な食料生産のシステムを作り上げるとともに、消費・廃棄から食料生産に循環させるシステムを構築しなければならない。協会は、有機農業の推進を軸としつつ、持続可能な地域、良好な環境の実現をめざすすべての人々と手を結びながら連帯と協力の輪を広げ、この21世紀最大の全人類的課題に挑戦したい。
 以上、五つの目的実現への道は平坦ではなくまた前途も遼遠だが、これに恐れをなし座していては何事も始まらない。協会は目の前の小さな一歩一歩をたしかに踏み固め、この五つの目標に向かいたゆまず前進を続けることを、ここに宣言する。


トップページに戻る